NPO法人青少年自立援助センター/YSCグローバル・スクール/田中宝紀 (IKI TANAKA)

NPO法人青少年自立援助センター定住外国人子弟支援事業部統括コーディネーター/ 東京都福生市にて外国にルーツを持つ子どもと若者のための教育・自立就労支援事業運営を担当。Yahoo!ニュース個人オーサー。2児の母。

中小企業に新たな風-海外にルーツを持つ若者とあなたの事業を国際化。

<多言語・国際感覚を持つ人材が中小企業に新たな市場をもたらした> 少し古いですが2015年8月30日の朝日新聞に、以下のような記事が掲載されました。 www.asahi.com そこに書かれていたのは、難民の方を雇用することで海外市場を開拓した中小企業2社の成功…

日本語を母語としない子どもを「言語難民」にする、大きな誤解。

先日のエントリー、 ikitanaka.hatenablog.com のタイトルにつけた「言語難民」という言葉。 J-WAVEの放送作家で、劇団東京フェスティバルを主宰されている、きたむらけんじさん(@tokyofestival )が、日本語を母語としない子どもや、海外にルーツを持つ方々…

「言語難民」!?-外国にルーツを持つ子どもの日本語教育、その責任は?

10月6日の夜、FMラジオ局 J-WAVE81.3、JAM THE WORLDという番組に出演させていただきました。パーソナリティは元NHKアナウンサーで、NPO法人8bitnews主宰、ジャーナリストの堀潤さん。「外国にルーツを持つ子どもたちに対する日本語教育は誰が担うべきなのか…

【メディア掲載】10月4日(日)読売新聞都民版(22,23面)―ホットぷれいす 東京 2015

こんにちは。田中です。 クラウドファンディングが終了し、早1週間以上が過ぎましたが、たくさんのご反響をいただき、いろいろな形で広がっています。 今回の記事掲載も、READYFOR?で、当方のクラウドファンディングプロジェクトを記者の方が見て下さり、取…

「知らない」を「知らなかった」にする力

9月26日に終了した、READYFOR?のクラウドファンディング。 readyfor.jp このプロジェクトには本当に、たくさんの方のご支援をいただき、目標金額189%達成もさることながら、ジャーナリスト、文筆家、芸術家、起業家など・・・、著名人の方に多くご支援いた…

日本社会に不可欠な力を、大切に育てよう

【外国にルーツを持つ子どもが、専門家による日本語教育を受けられると・・・】 →地震や先日の鬼怒川の決壊による水害など、有事の際に日本語のわからない外国人の方々を助けることのできる「当事者リーダー、サポーター」としての活躍が期待できます。 被災…

私たちが「専門的支援環境」にこだわる2つの理由

(毎週1回、土曜日に開かれるボランティアベースのクラス。ボランティアパワーに助けられ、毎回とてもにぎやかです) <サポート機会の拡充は「居場所」の創出に> 現在、外国にルーツを持つ子どもの日本語教育や学習支援は、私たちのようなNPOが専門的に関わ…

外国にルーツを持つ子どもと学校ー不安や戸惑いはどちらも同じ

私たち、YSCグローバル・スクールでは文科省委託事業時代より、学校や関係諸機関との協力・連携を大切な支援戦略の一つとして取り組んできました。 ikitanaka.hatenablog.com でもご紹介しましたが、その市町村内部に日本語指導を必要とする外国人児童生徒が…

「先生、わたし『ガイジン』って名前じゃない!」

(写真:歴代の文集「なかよし」には思い出がぎっしり) 毎年、年度末となる3月に、子どもたちと文集を作っています。長期に関わった子どもの中には、最初は外国語で書かれていた作文が、翌年には漢字が少し含まれる日本語の作文になり、そのさらに翌年には日…

「本との出会い」が外国にルーツを持つ子どもたちの人生を守る!?

<読み書きのできない大人が世界に約8万人> さて、前回のエントリー ikitanaka.hatenablog.com では、国際識字デーについて取り上げました。文字を読んだり、書いたりできること。そこに書かれた情報を理解し、判断し、適切に行動すること。 私を含め、この…

「機能的非識字」による経済・社会的損失が、日本は約1兆円!?

毎年、9月8日は『国際識字(しきじ)デー』であることをご存知でしょうか? 1965年にUNESCOが宣言して以来、識字の重要性や取り組みについて再認識するためのイベントが世界各地で開かれています。 「識字」というと、開発途上国の女性や子どもたちの姿が浮…

家庭内公用語は日本語-外国にルーツを持つ“あたらしい”家族

<現場での”トレンド”に変化が> これまでにつらつらと外国にルーツを持つ子どもたちのことを書いてきましたが、おおむねその前提となっていたのは「両親とも同国出身外国人の子ども」または「外国人と日本人の両親を持つ(いわゆるハーフの)子ども」のいず…

「外国人保護者は教育に無関心」のウソ

現場で400名を超える外国にルーツを持つ子ども達をサポートしてきて感じるのは、その保護者の方々への支援の必要性と重要性です。 子どもが健やかに日常や学校での生活を送るために、その保護者の方々が自信を持って子育てができる環境の重要性は、日本人の…

外国人散在地域に暮らす外国にルーツを持つ子どもの孤独

(写真:昨年度の卒業制作作成の様子。遠くは県外から子どもが通い、同じ境遇にある子ども達同士の仲間作りの場となっています) <集住(しゅうじゅう)と散在(さんざい)> 日本に暮らす外国人の方々について語る時、それが集住地域であるのか、散在地域…

外国にルーツを持つ”呼び寄せ”の子どもと家族再統合

<現場で出会う子どもの半数以上が「呼び寄せ」の子どもたち> 「呼び寄せ」とは、外国人の親御さんがわが子を親戚などに預けて来日し、その後日本での生活基盤ができたり、子どもの教育的な節目(小学校修了、中学校修了時など)で、日本で共に暮らすために…

「帰れ」と言わないで-外国にルーツを持つ子どもといじめ

近頃、メディアでは「ハーフタレント」や「外国人タレント」の方々の活躍が目覚しく、欧米だけでなくフィリピンや中国など、さまざまな国にルーツを持つ方々の姿を連日拝見します。 最近では、ミス・ユニバース日本代表として選出された宮本エリアナさんや、…

外国にルーツを持つ”シングルリミテッド”の子どもと特別支援

前回のエントリー ikitanaka.hatenablog.com で、”発達障害”を持つ可能性のある外国にルーツを持つ子どもについて、その「発見」自体が困難であることをお伝えしました。 そのエントリーを書いているうちに、以前支援したある生徒について思い出すことがあっ…

ことばか環境かー発達障害の可能性を有する外国にルーツを持つ子ども

先日、とある講演会で神奈川県大和市の教育長である柿本隆夫さんとご一緒させていただきました。柿本さんは、長年中学校の国語の先生を勤められ学校で出会った外国にルーツを持つ子どもたちをきっかけに、支援団体の設立にも携わったことのある方です。 昨年…

日本人の2倍!?外国にルーツを持つ子ども貧困率

<日本人の2倍!?外国にルーツを持つ子ども貧困率> 日本の子どもの6人に1人が貧困という事実は、今や多くの人々が知るところとなりました。「日本人の子どもが貧困に苦しんでいるときに、なぜ外国人を支援するのか。日本人の子どもの支援を優先すべきだろ…

外国にルーツを持つ子どもの高校進学率50%ー『不足』はどこに?

私の所属する NPO法人青少年自立援助センター はもともと、ひきこもりの若者やニート状態にある若年無業者の方々の支援を専門としており、私が統括する定住外国人子弟支援事業部でも2013年度より、外国にルーツを持つ若者の自立・就労支援に取り組んでいます…

ひとり親家庭率、フィリピン、タイルーツの子は日本人の2倍に。

前回のエントリー、 ikitanaka.hatenablog.com で、外国籍母子家庭の経済的状況の厳しさについて触れました。 ではそもそも、『外国籍ひとり親家庭にくらしている、外国にルーツを持つ子ども』はどのくらい日本に存在するのでしょうか? その答えもまた、国…

外国人失業率10%、外国籍母子家庭失業率はさらに高く・・・

<姿の「見えづらい」外国につながる子どもとその家庭> 世間には様々な統計調査があり、子育てや教育に関わる数値データもインターネット上で比較的容易にアクセスすることができるようになりました。 しかし、外国につながる子ども達の実態をその数多ある…

外国にルーツを持つ子どもに対する「学習支援”外”支援」

<異変・・・> その子どもたちは小学生のきょうだいで、両親は同国出身者同士。主に父親が建設現場で朝から遅くまで働き、母親は子どもたちの面倒を見ていましたが子どもたち自身は、不就学期間が長く続き、私たちの現場につながった際にも、不安定な状況で…

日本語ができないとどうなる?(3)-日本で生まれ育った子ども

2015年08月05日 前回、前々回とそれぞれ幼少期に来日した子どものケース、10代で来日した子どものケースを見てきました。 ikitanaka.hatenablog.com ikitanaka.hatenablog.com 今回は、最近特に増えていると感じている日本で生まれ育った子どもについてお…

日本語ができないとどうなる?(2)-10代で来日した子ども

前々回のエントリー ikitanaka.hatenablog.com では、9才ごろまでに来日した子どもの様子をお伝えしました。 今回は、10代に入ってから・・・特に現場で出会うことが多い14才ごろに来日した子どもたちのストーリーを、いくつかの事例をもとに再構成してお送…

日本語ができないとどうなる(1)? ー幼少期に来日した子ども

ひとくちに「外国にルーツを持つ子ども」といっても、彼らのバックグラウンドは実に多様で、国籍や母語、文化や肌の色などの違いだけでなく、来日年齢や家庭環境、居住地域(外国人が多い地域なのか、ほとんどいない地域なのか、など)等によってニーズや抱…

「外国にルーツを持つ子ども」ってどんな子ども?

<図:外国にルーツを持つ子どもたちの多様なバックグラウンド> 「外国にルーツを持つ子ども」とは、両親またはそのどちらか一方が、外国出身者である子どものことをあらわしています。親御さんとの血のつながりは特に関係ありません。実親であっても、義親…

私が外国にルーツを持つ子どもを支えるようになったワケ

<いじめから逃れるようにフィリピンへ・・・> いくつか分岐点があるのですが、そもそもの始まりは16歳の時にフィリピンのハイスクールへ留学したことでした。小学生のころから、学校や習い事の教室でいじめを受けるようになり(無視レベルから靴の中にマヨ…

学校からのSOS、聞こえていますか?

先日、臨床心理士の鈴木晶子さんのブログに「閉鎖的なのは学校なのか、地域なのか?」と題されたエントリーがアップされていました。 ブログの中で鈴木さんは、実は閉鎖的なのは学校ではなく地域なのではないか、という視点と共に、 しかし、既に学校だけを…

日本語ができない子どもたちの高校進学-都立高校は相変わらずの狭き・小さき門。

子ども日本語教室は今日で2学期の通常授業が終了です。22日からは高校受験生冬期講習を実施。今年度は当教室から22名が東京都立・埼玉県立高校の受験に臨みます。今年は日本語がまったくできない新規来日の、15歳以上の若者が多く入所しました。毎日毎日この…