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NPO法人青少年自立援助センター/YSCグローバル・スクール/田中宝紀 (IKI TANAKA)

NPO法人青少年自立援助センター定住外国人子弟支援事業部統括コーディネーター/NPO法人多文化共生子ども・若者プラットフォーム理事長。 東京都福生市にて外国にルーツを持つ子どもと若者のための教育・自立就労支援を担当。7歳と3歳の2児を育てるフルタイムワーキングマザー。

外国にルーツを持つ子どもの貧困(自分の為のメモ)

青少年自立援助センター定住外国人子弟支援事業部が運営する、多文化子ども・若者日本語教室にやってくる外国にルーツを持つ子どもたちは年間100名を超える。

実際に所得調査をしてはいないので、現場における実感値でしかないが、教室に通う子どもたちのうち、90%は低所得・生活困窮・生活保護世帯で暮らしている。

地域性も大きく関係するのであろうが、
少なくとも、私達が教室を開講している/開講してきた地域において出会ってきた中で、
家庭が「平均並み」に所得があり、高校進学時に私立高校でも良いです、と言えるような子どもは1割にも満たない。

給食費、教材費、修学旅行の積み立て、制服代などの教育に要する費用だけでなく、
国民健康保険料が支払えず無保険の世帯もある。

「世帯」と言っても、両親が揃っている家庭はこの教室には珍しく、
外国人シングルマザーが圧倒的に多い。
その次に多いのが、外国人シングルマザーの恋人で、子どもの実父ではない日本人男性と暮らしている家庭。この場合、失礼ながら日本人男性の所得が低かったり、すでに退職していて収入がなかったり、あっても「連れ子」となる子どもにはお金をなかなか使わなかったりなど、「日本人男性の恋人」の存在が、すぐに子どもの貧困状態の解消につながるわけでない場合が多い。

外国にルーツを持つ子どもたちの貧困状況については、詳しい調査は私が知りうる限りはほぼなされていない。
ただ、国勢調査から関連性のありそうな項目を洗い出した文献が存在していて、データとしてはだいぶ古いのだけど、十分参考になり、今後最新版の登場を心待ちにしている。

2005年国勢調査に見る外国人の教育-外国人青少年の家庭背景・進学・結婚
岡山大学大学院社会文化科学研究科紀要第35号(2013.3)(pdf)

外国籍ひとり親家庭率

 フィリピン国籍の母親のいる世帯のひとり親家庭率が圧倒的に高い。

グラフには記載がないが、フィリピン人母を持つ子どもの母子世帯率は
1995年と2000年には2%未満だったものが、2005年時点では9.4%へ急増しているとのこと。
現在はもう少し高くなっているかもしれない。

さらに、

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外国人世帯の母親の失業率はフィリピン10.7%、
タイ13.2%、ブラジル3.7%、ペルー11.4%、
中国10.8%、韓国・朝鮮14.5%、その他9.6%で
平均8.7%。
一方、子どもの年齢別に母親の失業率を見ると、
0歳~4歳の子どもを養育する
フィリピン人シングルマザーの失業率は16.9%、
タイでは18.2%などと、総じて高い。
(日本人では平均8.6%、0~4歳養育の場合11.4%)

出典:「2005年国勢調査から見る在日外国人女性の結婚と仕事・住居」、岡山大学大学院社会文化科学研究科『文化共生学研究』第12号(2013.3)p59より引用。

 

フィリピン、タイ出身の方々の貧困状態が他の国籍と比べると厳しい、という点は
現場から見える実感値とほぼ変わらない。
フィリピン、タイの方々は若いころに来日した女性が多く、日本人男性との国際結婚→離婚、というパターンが大半を占めることと、現在の経済状況とは相関するのではないかと思う。

尚、これらの日本人男性との国際結婚経験がるフィリピンやタイの女性の元には、日本国籍を持つ「ハーフ」の子どもたちがいて、外国人シングルマザーの元、貧困やそれに近い状況で生活している。

「移民」は日本社会において、建前上存在しないことになっているけれど、
現存する「2世」の子どもたちは(すごく誤解を恐れずに、極論をいえば、)
貧困状態/母語喪失/ダブルリミテッド/シングルリミテッド/いじめ/差別・偏見/居場所がない/非行/犯罪/10代の妊娠・出産・・・等々
これでもかとやってくる問題に囲まれて生きている。

現場で子どもたちひとりひとりと向き合っていると、
なにゆえこれほどまでに、子どもたちは過酷な状況を生きなくてはならないのか
と思う。

「外国人」だから?
日本国籍を持っていたり、日本で生まれ育って、母語はヒトコトも話せなくても?

彼らの抱える困難を解決するためには、
まず、彼らや彼らの親たちが「移民」であり、日本でこれから先も生き続ける生活者であることの認知を早急に行わなくてはならない。
その上でなければ、彼らに適切に対応する施策は生まれないからだ。
(人権の観点から対応している自治体もあるけれど)


今、現場で、外国にルーツを持つ10代の1.5世や2世の若者の妊娠・出産が気になっている。
(多発している、と言ってもいい)
貧困の世代継承が目の前で起こっている中で、それに対してあまりにも無力だと感じる日々。

「教育」の分野で外国にルーツを持つ子どもたちと関わって6年目。
「貧困」の視点をより強化する必要性に迫られている。

 

*1