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NPO法人青少年自立援助センター/YSCグローバル・スクール/田中宝紀 (IKI TANAKA)

NPO法人青少年自立援助センター定住外国人子弟支援事業部統括コーディネーター/NPO法人多文化共生子ども・若者プラットフォーム理事長。 東京都福生市にて外国にルーツを持つ子どもと若者のための教育・自立就労支援を担当。7歳と3歳の2児を育てるフルタイムワーキングマザー。

「外国にルーツを持つ子ども」ってどんな子ども?

 

<図:外国にルーツを持つ子どもたちの多様なバックグラウンド>

 

 

「外国にルーツを持つ子ども」とは、両親またはそのどちらか一方が、外国出身者である子どものことをあらわしています。親御さんとの血のつながりは特に関係ありません。実親であっても、義親であっても、外国にルーツを持つ親御さんがいる場合、その子は「外国にルーツを持つ子ども」と呼ばれます。

 

国籍や生まれた場所、話す言葉や宗教などは問いません。外国籍を持つ子どももいれば、親御さんのどちらか一方が外国出身者である、いわゆる「ハーフ」の日本国籍を持つ子どももいます。

 

また、難民2世や不法就労が発覚することを恐れた親御さんが届出を一切出さなかった場合などに、無国籍状態に陥る子どもたちもいます。


日本で生まれ、日本で育ち、日本語しか話さない(母語ができない)外国籍の子どももいれば、海外で生まれ育ち、外国語しか話さない(日本語ができない)日本国籍の子どももいます。

 

いわゆる「帰国子女」のお子さんも、状況によってこの枠組みに入る可能性があります。

 

 

<全小中学生の3%が外国にルーツを持っている>

 

では、こうした外国にルーツを持つ子どもたちは、日本にどのくらいいるのでしょうか。

 

2014年、政府の人口動態統計によると、出生時点で父母のどちらかが日本人である小中学生は22万5千人。外国籍の5歳~14歳は2014年現在で11万人。単純に合わせると外国籍を含めた外国につながる小中学生は、約33万人となります。
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?lid=000001127058(人口動態統計)より推計)

 

小中学生の子ども全体の数は約1,000万人なので、およそ3%を占めています。
少なくない数ですね。

 

私たちがこれまでに支援してきた子ども達の場合、家庭が「日本以外の国に今後住む予定や帰国する予定がない」と答えた日本永住・定住志向のご家庭が97%に上ります。

 

この30万人の外国につながる子ども達も、その多くが日本に定住し、日本で成長し、仕事に就き、恋をして結婚してまた新たな「外国につながる子ども」を育てます。現在、生まれてくる子どもの約30人に1人が外国にルーツを持つ子どもです。

 

 

(写真:今年入った新人コーディネーターの彼女も、外国にルーツを持っています。かくいう私も。内なる国際化の深化を感じます)

 

 

<「留学生」とのもっとも大きな違いは、来日の「自発性」>

 

留学生やその他の大人と異なり、外国にルーツを持つ子どもたちの特徴は、

来日するかどうかの決定権が当事者(子ども自身)にない、

ということです。

 

そのことで突然の友人との別れや教育の中断など、苦しい思いをした子どももいます。来日後に、日本に呼び寄せた親御さんに対して、行き場のない感情をぶつける子どももいます。


もちろん、最初から「日本に来られてよかった!」という子どももいますが、多かれ少なかれ、日本にやってきたことによる劇的な環境変化で苦しんだ経験を持つ子どもがほとんどだといえます。

 

『こうした非自発的な環境変化経験の有無や、アイデンティティ形成の時期(思春期前後)、心身の発達にとって重要な時期に、言葉や文化などの壁や困難にぶつかっている』


ということが、バックグラウンドの多様性にかかわらず「外国にルーツを持つ子ども」の多くに共通するものであるといえそうです。なので、同じ20歳でも義務教育や高校生活のころを日本で過ごし、大学生となった外国にルーツを持つ若者(元・子ども)と、18歳で来日して大学に入り学んでいる留学生の方とを「外国人学生」とひとくくりで語ることはできません。

 


<呼び方定まらず>

 

それにしても「外国にルーツを持つ」という呼び方はとても長く、言いづらいというご指摘をいただくこともあります(特にtwitterでは字数を取られてしまうので、つぶやきづらい・・・)

 

こうした呼び方のほかにも
「外国につながる子ども」
「日本語を母語としない子ども」
「新渡日の子ども」
日系人」「新日系人
「ハーフ」「ダブル」
などなど、いろいろな呼び方がされているようですが、「外国にルーツ」「外国につながる」以外の呼び方は、こうした子どもたちの中でも特定の状況にある子どもたちをさす言葉のため、全体を表す言葉としては不十分になってしまいます。。。

 

本当は『移民の子ども』(Immigrant children)がもっとも状況として適切な言葉であるはずなのですが、移民という単語に抵抗感の強い方々も多く、伝えたいことが歪曲されて受け取られる可能性があるので今のところ控えています。

 

この呼び方が定まらない状態が、外国にルーツを持つ子どもたちがいまだ日本社会に認知されていない、知られていないということ自体を表しているのだと感じていて、きっとおそらく、その「疎外感」は外国にルーツを持つ子どもたち自身にも伝わっているのだと思います。

 


<台湾では移民を「新台湾人」と呼ぶ>

 

先日、twitterから流れてきたニュースでこのことを知りました。
「新台湾人」という言葉の響きから、私は個人的にあたたかさを受け取りました。
台湾全体が彼らを歓迎しているように感じたからです。

 

たとえばもし「新日本人」という言葉が生まれたら、みなさんはどう思うでしょうか。

 

「フィリピン系日本人」「中国系日本人」「ペルー系日本人」など、もしかしたら遠くない未来にはこうした言葉が違和感なく社会になじんでいるかもしれません。
いずれにせよ、出自や経済的な格差に左右されず、日本に暮らすすべての子どもたちが少なくとも衣食住と教育には困らない社会にしなくてはならない、と改めて感じています。