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NPO法人青少年自立援助センター/YSCグローバル・スクール/田中宝紀 (IKI TANAKA)

NPO法人青少年自立援助センター定住外国人子弟支援事業部統括コーディネーター/NPO法人多文化共生子ども・若者プラットフォーム理事長。 東京都福生市にて外国にルーツを持つ子どもと若者のための教育・自立就労支援を担当。7歳と3歳の2児を育てるフルタイムワーキングマザー。

私たちが「専門的支援環境」にこだわる2つの理由

外国にルーツを持つ子ども・若者

        (毎週1回、土曜日に開かれるボランティアベースのクラス。ボランティアパワーに助けられ、毎回とてもにぎやかです)

 

 

<サポート機会の拡充は「居場所」の創出に>

 

現在、外国にルーツを持つ子どもの日本語教育や学習支援は、私たちのようなNPOが専門的に関わる場は数少なく、多くの場合、大学生や市民ボランティアが中心となり、子どもたちと1対1または少人数のグループによって実施されています。

また、最近では自治体ごとにこうした子どもたちの支援員を採用し、複数の学校をかけもってそこに在籍する児童生徒の学習をサポートしたり、学校内で「国際学級」や類似のクラスが設けられている場合があります(この場合、教員免許を持つ方が指導に入られるケースが多く、必ずしも日本語教育の専門家ではないことも)。

 

こうしたサポート機会が大小さまざまに増えることで、子どもたちがアクセスしやすくなること自体はとても重要で、日本社会に「居場所」を見出しづらい外国にルーツを持つ子どもたちにとって、学習以上に、心のよりどころ、同じ境遇の仲間と出会える場としての機能は、多くの子どもたちにとって貴重なものとなるはずです。

 

 

<土曜日は「学を楽しむ」ボランティアクラスを運営中>

 

私たちの現場でも、毎週土曜日にはサポートボランティアの方々が中心となって、子どもたちが「学ぶを楽しむ」というコンセプトの下、学校の課題や苦手な部分を1対1または少人数のグループでサポートするプログラムを運営しています。


勉強に飽きてしまったら、ボランティアのお兄さんやお姉さんとおしゃべりをしたり、ゲームをして遊んだりなど、比較的自由な時間をすごせる90分間を、ワンコインで提供しています。スクール内でもっとも安価なプログラムのため、平日の正規クラスには通えない経済状況のご家庭のお子さんたちも、こちらには毎週顔を出してくれています。

 

サポートボランティアの皆さんの中には、わざわざ都外から毎週サポートにいらしてくださる方もおられたり、元学校の先生としての知識と経験をフルに活用してサポートしてくださる方もおられたり、と、本当に心強く、ありがたく、頭が下がる思いです。

 

 

<質か量か・・・>

 

一方で、やはりボランティアの皆さんによるご協力の下に運営されているプログラムは、その日その日でサポートできる大人の人数や、顔ぶれにバラつきが出てしまいます。このため、どうしても学習内容の「継続性」や「積み上げ」といった要素は薄れてしまいがちです。また、インターネット上のグループウェアを利用し、情報共有に努めてはいるものの、子どもたち1人1人の特徴や学習の進度などを、ボランティアの方々全員にすみずみまで共有することは現実的ではないところです。

 

また、不登校や不就学状態の外国にルーツを持つ子どもたちも少なくない中、彼らが「毎日、学校代わりに通える場」があることの重要性も実感するところです。ボランティアベースでは、やはり週1回、週2回が限界だろうと思います。

 

私たちの現場が、文科省からの委託事業終了時にボランティアベースでの運営をメインにせず、コストがかかっても専門的な教育環境の維持に努めた理由の1つは、この支援の「継続性」と支援者間連携が外国にルーツを持つ子どもたちを支えるにあたって、なくてはならないものであると感じているからです。

 

 

 

<継続性と連携で生まれるメリットは・・・>

 

支援の「継続性」を持つことで、支援者の入れ替わりを最小限に留めることで、

・子どもたちとの信頼関係が築きやすくなること

・支援期間中だけでなく支援終了後も「○○先生に会いたい」という理由で子どもたちと「場」とのつながりを維持しやすくなること
・支援終了後に状況変化が起きた場合でも、すぐに再支援しやくすなること
などのメリットが生まれます。

 

また、1人の支援者がそれを「仕事」として携わることで、継続性に加え、経験の積み上げとスキルアップを図りやすくなり、支援の質を向上させることができますし、上述のとおり、何よりも学校につながっていない不登校等の子どもたちが、毎日通うことのできる場を開くことができることも、重要な要素だと考えています。

 

この現場には「日本語教育」の担当者と、数学や英語など、「教科学習」の担当者に加え、外国にルーツを持つ子どもの周辺環境に働きかけ、内外のリソースをコーディネートすることで支援を行う「多文化コーディネーター」の3役に分かれ、それぞれの領域で子どもたちをサポートしています。

 

ただ、それぞれの担当者が「日本語だけ」「数学だけ」とバラバラに支援をしていても、効果が小さく、たとえば数学の中の「日本語」が理解できない子どものつまずきを解消するためには、日本語教育領域の知識を応用する必要があります。

 

また、それまで順調に前進していたあるお子さんが、とつぜん現場に顔を出さなくなったとき、「現場にこないのなら支援できない」という「待ち」の姿勢ではなく、学習の場に再び足を運ぶことができるよう働きかけを行っています。

 

また、そのお子さんの状況を日本語や学習支援担当者と共有することで、カリキュラムの微調整を行ったりなど、内外で情報共有を含めて連携を図ることが、支援をいたずらに長引かせることなく、日本の社会で元気に生活し、友人たちと楽しく過ごせる、子どもらしい日々を守ることにつながると考えています。