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NPO法人青少年自立援助センター/YSCグローバル・スクール/田中宝紀 (IKI TANAKA)

NPO法人青少年自立援助センター定住外国人子弟支援事業部統括コーディネーター/NPO法人多文化共生子ども・若者プラットフォーム理事長。 東京都福生市にて外国にルーツを持つ子どもと若者のための教育・自立就労支援を担当。7歳と3歳の2児を育てるフルタイムワーキングマザー。

中小企業に新たな風-海外にルーツを持つ若者とあなたの事業を国際化。

外国にルーツを持つ若者の自立・就労

<多言語・国際感覚を持つ人材が中小企業に新たな市場をもたらした>

少し古いですが2015年8月30日の朝日新聞に、以下のような記事が掲載されました。

www.asahi.com

 

 そこに書かれていたのは、難民の方を雇用することで海外市場を開拓した中小企業2社の成功事例でした。

 

従業員8人のユーエムの正社員になったのは来日4年目の今年4月。採用に乗り出したのは、専務の川崎裕弥さん(32)だ。

 切削工具などを扱う同社の顧客は、ほとんどが県内の中小企業だった。だが08年のリーマン・ショック、11年の東日本大震災で多くの取引先が廃業し、売り上げは激減。海外市場に目を向け、米国に営業に飛んだが、英語力が追いつかず商談に結びつかなかった。

このような状況の中、難民の方を雇用したことで 

 

ホセインさんは商品の検品業務とともに、メールや電話で海外市場開拓も担当。今月、ついに同社として初めて、台湾企業と新製品の商談が実現しそうだ。

 

と、海外市場への一歩を踏み出しました。

また、同記事には自動車用の金型などを製造する中小企業が、やはり難民や海外からのインターンの雇用を進めたことで、現在6ヶ国語での海外の顧客に対応することが可能となり、仕事の7割が海外向けになったという事例も紹介されていました。

 

<基地の町、東京都福生市周辺では・・・>

 

私たちの現場がある東京都福生市外国籍住民が人口の5%を占め、周囲の自治体と比較すると、外国出身者の多い町です。また、在日米軍基地である、横田基地を擁しており、私が生まれる前から、色々な面で「アメリカ」を身近に感じるそんな土地柄です。

 

駅の近くにあるスーパーでは、レジに並べば数ヶ国語が同時に聞こえてくるし、駅のホームに立てば、そこにはアメリカ、東アジア、東南アジア、アフリカなど、様々な人々と共に電車を待つ、という日常。

 

かと言って、この周辺の自治体主導で多言語表記が進んでいるとか、多文化共生の先進地域である、と言ったことがあまり見られないのは残念なところではあります・・・。

(少しずつ変わってきてはいるようですが)

 

それでも一部、地域内にあって尚「外側」にアンテナを張ることで、顧客層の拡大に成功している事例があります。

 

1つは、チェーン店ですがカレーハウスCoco壱番屋さん。

英語、中国語、ロシア語、ポルトガル語など6言語に対応した多言語メニューブックを備えている他、福生駅にある店舗では、英語によるポップ掲示やバイリンガル店員、米ドルでの支払いを可にするなどの対応で、米軍基地に勤める方々を中心に大人気。

いつ行っても(私が行く時間帯は偏っていますが・・・)、店内の半数以上が日本語以外の言語を話している、という状況です。

ちなみに、隣の町にあるCoCo壱番屋さんでは、これほどの多言語対応はしておらず、店内も海外にルーツを持つ方が目立って多い、ということはなさそうでした。

 

もう1つは、私の子どもがおせわになっている小児科のクリニック。

こちらは特に多言語表記がある、と言うわけではないのですが、フィリピンにルーツを持つ看護師さんが勤務されていて(日本国籍で、幼少期に来日したとの事ですが)、日本人の親御さんとお子さんには日本語で接していますが、フィリピンにルーツを持つ親御さんとお子さんがいる際にタガログ語で、小児科の先生の言葉を丁寧に通訳したり、やさしい声かけをしたり、予防接種の問診表を記入する手伝いをしたり。

この看護師さんが入る前から評判の高いクリニックではありましたが、地域のフィリピン人のお母さんたちの間にもその情報が広まり、さらに人気のクリニックに。

安心できるのはフィリピンにルーツを持つ家族だけでなく、そのクリニックのお医者さんや同僚の看護師さんも同じなのだな、と、双方から頼りにされている看護師さんの姿を見て実感しています。

 

 <海外市場の開拓にも、新たな顧客の開拓にも>

新聞記事にあった、難民を雇用したことで海外市場を開拓した2つの中小企業さんも、福生市という小さな町にある飲食店や小児科クリニックも、自分たち自身に「グローバル化」を内包した(多言語・国際感覚を持つ人材を雇用した)結果、新たな市場の開拓や顧客層や顧客サービスの拡大につなげた事例であるといえます。

 

 今、この地域で現場を運営して6年目となり、私たちのスクールで学んだ”かつての子どもたち”が、いまや若者となり、地域の介護施設や美容院、コンビニなどで働くようになりはじめ、この地域の持つポテンシャルが高まりつつあることを感じています。

 

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(写真:間近に迫った文化祭に向けて、歌声が響く現場で。)

 

海外にルーツを持つ若者は雇用側がその能力を生かすように”舵取り”さえすれば、地域の製品を多言語でネットに載せて海外へ販売するなどの海外市場の開拓にも、すでに地域に暮らしている外国出身者や観光客への対応など、ローカルの多言語ニーズの掘り起こしにも、どちらの側面にも一翼を担える可能性を持っています。

 

<”日本的”を共有しながら働くことができる>

特に「海外」をベースに成長してきた留学生や外国人保護者とは異なり、子どもの頃に日本にやってきて日本の中で教育を受け、成長した海外にルーツを持つ若者は、「日本」の社会と文化を一定以上の割合でベースとしていることが多いと言えます。基本的な”感覚”を共有することができる、というのは雇用主にとっても安心感につながることも、ありそうですね。

 

会社の国際化を検討していたり、地域内の多言語ニーズの開拓や外国人観光客需要の呼び込みなどを考えている方がおられたら、まずは日本で成長してきた「海外にルーツを持つ若者」の雇用を検討してはいかがでしょうか?

 

あ、ちなみに私が所属するNPO法人青少年自立援助センターでは、海外にルーツを持つ若者の就労と自立をサポートしています。無料職業紹介も可能ですので、海外にルーツを持つ若者の雇用に興味のある方は、info@tamayass.jp までお問い合わせください~