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NPO法人青少年自立援助センター/YSCグローバル・スクール/田中宝紀 (IKI TANAKA)

NPO法人青少年自立援助センター定住外国人子弟支援事業部統括コーディネーター/NPO法人多文化共生子ども・若者プラットフォーム理事長。 東京都福生市にて外国にルーツを持つ子どもと若者のための教育・自立就労支援を担当。7歳と3歳の2児を育てるフルタイムワーキングマザー。

日本語ができない子どもたちの高校進学-都立高校は相変わらずの狭き・小さき門。

外国にルーツを持つ子ども・若者

子ども日本語教室は今日で2学期の通常授業が終了です。
22日からは高校受験生冬期講習を実施。
今年度は当教室から22名が東京都立・埼玉県立高校の受験に臨みます。
今年は日本語がまったくできない新規来日の、15歳以上の若者が多く入所しました。
毎日毎日この狭い教室と自宅との往復を繰り返し、時には喧嘩をしたり涙を流したりしながらも、コツコツと未来へ向けて歩みを進めています。

高校入試は相変わらずの狭き門。
東京都は都立高校の入試制度にルビ振りの配慮が外国籍・入国3年未満の生徒に実施されるのみ。
在京外国人のための枠組みのある高校も都の東側に3校で、計55名分の枠組みしかありません。

*1



倍率も2倍前後と高く、どうせ受からないからとあきらめて受験しない子どももいるようです。
さらにいずれもここ、東京の西の端っこからでは1時間半以上の通学距離。
西側には底辺校の選択肢も少なく、日本生まれ・日本育ちでも全日制高校進学が困難な状況です。

*2

いわんや、日本語が十分でない子ども達には、定時制高校か私立かという極端な選択肢しかありません。
私立高校の学費を賄えるのはごくごく一部のご家庭のみ。

こうなると、
1)入試制度を変えて、日本語を母語としない子ども達が入りやすいような配慮がよりなされる
2)在京外国人枠が拡大される
3)定時制高校が日本語を母語としない子ども達にとってより良い環境となる
ことが現実的かと思います。

1)と2)は「狭き門を拡げる」ため、支援者や当事者、その保護者から東京都への働きかけが必要です。一朝一夕には変わらないかもしれませんが、都議会議員の方々の協力も得て地道に進める。

3)は狭き門ながら、最も実現可能性が高く、即効性がありそうです。
現行の定時制高校でも、先生方が非常に努力をされていることを知っています。日本人の生徒だけでなく、日本語が十分でない生徒の課題とも向き合っていかなくてはならないのは、きっと相当な御苦労があることでしょう。

ただ残念ながら、昨年度までの間に多文化子ども・若者日本語教室の支援を受けて高校進学した子ども達のうち、18%が中退したことがわかっています。その大半が定時制高校に進学した子ども達でした。

なぜだろう?
もちろんそれぞれに理由はあるのだろうと思いますが、
定時制高校進学を望んでいなかった
 →全日制希望だったものの、日本語力や学力、選択肢の小ささにより定時制
 →女子生徒の場合は、「夜間に外出すること」に抵抗感を持つ場合も。(出身国では夜間は危険などもありほとんど外出しない、など)
・勉強についていけなかった
 →中には、国語や社会などの時間に日本語ができない生徒を「取り出し」てサポートしてくれる学校もありますが、それでも高校レベルの内容を学習するための日本語の力を身につけるのは大変です。
・そもそも高校進学を望んでいなかった
 →これはこちらの問題も大きいのですが、この教室で支援が受けられるのは委託業務の仕様書上、高校進学希望者までとなっており、高校進学を希望していない場合は支援を受けられないことに。このため、本来は就労希望でも「高校進学を希望している」として入所しているのではないかと疑われるケースも、残念ながらあります。

それ以外に一時目立ったのが、妊娠による退学でした。
(これについては思うところが多々ありますが、脱線するので今日は詳しくは書きません。)

定時制高校が、日本語が十分でない子ども達の大きな選択肢の一つである以上、その機能に「日本語教育」を組み込んでも良いのではないかな、と。
実際に都内の夜間中学では日本語教育を組み込んでいるところがありますし、日本語教育が難しければ、「識字教育」でも良いかもしれません。

識字であれば、定時制高校に通う日本人の生徒も一部対象となりそうですし、非漢字圏から来た子ども達のつまづきも、読み書きの部分が大きいですし。

いろいろと外側に望むこと、が多いのですが
私も現場でのトライ&エラーを繰り返しながら、そのノウハウを学校や地域のリソースに還元できるようにしたいと思います。

*1:

平成24年度文科省調査の「 日本語指導が必要な外国人児童生徒の学校種別在籍状況(都道府県別)

http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/25/04/__icsFiles/afieldfile/2013/04/03/1332660_1.pdf

」を見ても、その時点で東京都内の中学校には692名の日本語ができない中学生が在籍していることがわかります。単純に計算して1学年当たり230名いるわけですから、圧倒的に足りていません。

*2:(東京都都立高校在京外国人枠についてはこちら:http://www.tagara-h.metro.tokyo.jp/cms/html/entry/149/46.html「都立田柄高校 在京外国人生徒対象 平成27年4月入学生徒の選抜について)