NPO法人青少年自立援助センター/YSCグローバル・スクール/田中宝紀 (IKI TANAKA)

NPO法人青少年自立援助センター定住外国人子弟支援事業部統括コーディネーター/ 東京都福生市にて外国にルーツを持つ子どもと若者のための教育・自立就労支援事業運営を担当。Yahoo!ニュース個人オーサー。2児の母。

2015-01-01から1年間の記事一覧

2015年もっとも印象に残った外国にルーツを持つ子ども・若者関連ニュース

2015年も残すところあとわずか。 今年2015年、仕事収めの今日(12月28日)、あらためて外国にルーツを持つ子どもたちや若者に関するニュースのうち、印象に残っているものをご紹介して、終わりたいと思います。 <1.教育関係のできごと> ●「虹が消える・…

日本語が話せない児童生徒が増加。国が対策へ

国が対策に乗り出した!? www.fnn-news.com 一昨日のFNN-NEWSの動画が流れてきました。ニュースの切り口やいくつかの点に若干の疑問は残るものの、最近、こうした外国にルーツを持つ子ども関連のニュースを目にすることが増えたなと思います。時期的なもの…

外国人家事代行サービス特区解禁―外国人ベビーシッター利用経験から、思うことなど。

以前から話題になっていましたが、家事代行サービスへの外国人労働者の受け入れが、国家戦略特区の神奈川県と大阪府で解禁されることになりました。 www.nishinippon.co.jp いろいろと賛否両論あるニュースですね。 そもそも家事代行サービス自体も、まだ一…

子ども・生活者向けおすすめ多言語学習支援サイト・生活情報アプリ

こんにちは。田中です。 私は時折、外国にルーツを持つ子どもたちや外国人保護者が使えそうな新作ツールが出ていないか、かなり時間をかけてネットで情報を探すようにしています。 今朝ひさびさにネットサーフィンしたら、すばらしい、お金がかからない無料…

学校で日本語支援受けられていない外国にルーツを持つ子、7,000人

<7,000人の日本語を母語としない子ども、無支援状態> 去る12月1日、文部科学省にて外国人児童生徒の支援体制について議論する有識者会議が開かれました。 www.nikkei.com 現在、文科省の調査によると、日本の公立学校(小、中、高、特別支援)に在籍す…

Giving December―多様だからこそ、豊かな未来へ

こんにちは。田中です。 早いもので、もう12月。ついこの間まで「夏の終わり」くらいの気分でいたのですが、朝晩ぐっと冷え込むようになり、慌てて冬支度に入りました。 「あなたはどんな未来がほしいですか?」 さて、タイトルにあるように、昨日12月1日か…

これだけは知ってほしい-海外にルーツをもつ子ども支援の基本の基(き)

以前、NHKで放送されている「おはよう日本」というニュース番組にて、今年の2月まで実施していた文部科学省「定住外国人の子どもの就学支援事業」(通称:虹の架け橋教室)の終了に関連して、私の現場で学んでいたネパール人の女の子の様子が放送されました…

日本人だけじゃない。「マイナンバー」制度-日本語を母語としない方々への多言語説明資料

<もう、届きましたか?> こんにちは。田中です。 みなさんのお手元に、もうマイナンバーは届きましたか? 私の家はまだで、来ないな~と思っていたら、こんな記事が。 www.yomiuri.co.jp をを!良かった。うちだけじゃなかったんだな、とちょっと安心しま…

外国人と日本語で話せる!-広がっています「やさしい日本語」

<「やさしい日本語」という言葉を聞いたことはありますか?> 「だいじょうぶ?どうしたの?」など「優しい」言葉をかけること、ではありません。この”やさしい”は「平易(簡単)な」という方の易しいで、日本語があまり上手ではない方々でも災害時などに必…

日本には外国籍の親と同居する子どもが183万人暮らしている、という事実。

今朝、FMラジオ局J-WAVE81.3にて、俳優の別所哲也さんがナビゲートする「TOKYO MORNING RADIO」のコーナー、THINKING NEW STANDARDに電話出演させていただきました。 10月22日(木)朝、FMラジオ局J-WAVEのTOKYO MORNING RADIOにて海外にルーツを持つ子ども…

「全日制に行けるなんてすごい!」の現実-日本語を母語としない子どもの高校進学

今朝、ツイッターのタイムラインで流れてきた2015年9月22日、毎朝新聞の神奈川版の記事リンクにこんな見出しが・・・ 高校進学:14年度公立中「国際教室」卒業、外国人の全日制進学率47% 「在県枠」条件厳しく 近くの定時制を受験 /神奈川 http://main…

中小企業に新たな風-海外にルーツを持つ若者とあなたの事業を国際化。

<多言語・国際感覚を持つ人材が中小企業に新たな市場をもたらした> 少し古いですが2015年8月30日の朝日新聞に、以下のような記事が掲載されました。 www.asahi.com そこに書かれていたのは、難民の方を雇用することで海外市場を開拓した中小企業2社の成功…

日本語を母語としない子どもを「言語難民」にする、大きな誤解。

先日のエントリー、 ikitanaka.hatenablog.com のタイトルにつけた「言語難民」という言葉。 J-WAVEの放送作家で、劇団東京フェスティバルを主宰されている、きたむらけんじさん(@tokyofestival )が、日本語を母語としない子どもや、海外にルーツを持つ方々…

「言語難民」!?-外国にルーツを持つ子どもの日本語教育、その責任は?

10月6日の夜、FMラジオ局 J-WAVE81.3、JAM THE WORLDという番組に出演させていただきました。パーソナリティは元NHKアナウンサーで、NPO法人8bitnews主宰、ジャーナリストの堀潤さん。「外国にルーツを持つ子どもたちに対する日本語教育は誰が担うべきなのか…

【メディア掲載】10月4日(日)読売新聞都民版(22,23面)―ホットぷれいす 東京 2015

こんにちは。田中です。 クラウドファンディングが終了し、早1週間以上が過ぎましたが、たくさんのご反響をいただき、いろいろな形で広がっています。 今回の記事掲載も、READYFOR?で、当方のクラウドファンディングプロジェクトを記者の方が見て下さり、取…

「知らない」を「知らなかった」にする力

9月26日に終了した、READYFOR?のクラウドファンディング。 readyfor.jp このプロジェクトには本当に、たくさんの方のご支援をいただき、目標金額189%達成もさることながら、ジャーナリスト、文筆家、芸術家、起業家など・・・、著名人の方に多くご支援いた…

日本社会に不可欠な力を、大切に育てよう

【外国にルーツを持つ子どもが、専門家による日本語教育を受けられると・・・】 →地震や先日の鬼怒川の決壊による水害など、有事の際に日本語のわからない外国人の方々を助けることのできる「当事者リーダー、サポーター」としての活躍が期待できます。 被災…

私たちが「専門的支援環境」にこだわる2つの理由

(毎週1回、土曜日に開かれるボランティアベースのクラス。ボランティアパワーに助けられ、毎回とてもにぎやかです) <サポート機会の拡充は「居場所」の創出に> 現在、外国にルーツを持つ子どもの日本語教育や学習支援は、私たちのようなNPOが専門的に関わ…

外国にルーツを持つ子どもと学校ー不安や戸惑いはどちらも同じ

私たち、YSCグローバル・スクールでは文科省委託事業時代より、学校や関係諸機関との協力・連携を大切な支援戦略の一つとして取り組んできました。 ikitanaka.hatenablog.com でもご紹介しましたが、その市町村内部に日本語指導を必要とする外国人児童生徒が…

「先生、わたし『ガイジン』って名前じゃない!」

(写真:歴代の文集「なかよし」には思い出がぎっしり) 毎年、年度末となる3月に、子どもたちと文集を作っています。長期に関わった子どもの中には、最初は外国語で書かれていた作文が、翌年には漢字が少し含まれる日本語の作文になり、そのさらに翌年には日…

「本との出会い」が外国にルーツを持つ子どもたちの人生を守る!?

<読み書きのできない大人が世界に約8万人> さて、前回のエントリー ikitanaka.hatenablog.com では、国際識字デーについて取り上げました。文字を読んだり、書いたりできること。そこに書かれた情報を理解し、判断し、適切に行動すること。 私を含め、この…

「機能的非識字」による経済・社会的損失が、日本は約1兆円!?

毎年、9月8日は『国際識字(しきじ)デー』であることをご存知でしょうか? 1965年にUNESCOが宣言して以来、識字の重要性や取り組みについて再認識するためのイベントが世界各地で開かれています。 「識字」というと、開発途上国の女性や子どもたちの姿が浮…

家庭内公用語は日本語-外国にルーツを持つ“あたらしい”家族

<現場での”トレンド”に変化が> これまでにつらつらと外国にルーツを持つ子どもたちのことを書いてきましたが、おおむねその前提となっていたのは「両親とも同国出身外国人の子ども」または「外国人と日本人の両親を持つ(いわゆるハーフの)子ども」のいず…

「外国人保護者は教育に無関心」のウソ

現場で400名を超える外国にルーツを持つ子ども達をサポートしてきて感じるのは、その保護者の方々への支援の必要性と重要性です。 子どもが健やかに日常や学校での生活を送るために、その保護者の方々が自信を持って子育てができる環境の重要性は、日本人の…

外国人散在地域に暮らす外国にルーツを持つ子どもの孤独

(写真:昨年度の卒業制作作成の様子。遠くは県外から子どもが通い、同じ境遇にある子ども達同士の仲間作りの場となっています) <集住(しゅうじゅう)と散在(さんざい)> 日本に暮らす外国人の方々について語る時、それが集住地域であるのか、散在地域…

外国にルーツを持つ”呼び寄せ”の子どもと家族再統合

<現場で出会う子どもの半数以上が「呼び寄せ」の子どもたち> 「呼び寄せ」とは、外国人の親御さんがわが子を親戚などに預けて来日し、その後日本での生活基盤ができたり、子どもの教育的な節目(小学校修了、中学校修了時など)で、日本で共に暮らすために…

「帰れ」と言わないで-外国にルーツを持つ子どもといじめ

近頃、メディアでは「ハーフタレント」や「外国人タレント」の方々の活躍が目覚しく、欧米だけでなくフィリピンや中国など、さまざまな国にルーツを持つ方々の姿を連日拝見します。 最近では、ミス・ユニバース日本代表として選出された宮本エリアナさんや、…

外国にルーツを持つ”シングルリミテッド”の子どもと特別支援

前回のエントリー ikitanaka.hatenablog.com で、”発達障害”を持つ可能性のある外国にルーツを持つ子どもについて、その「発見」自体が困難であることをお伝えしました。 そのエントリーを書いているうちに、以前支援したある生徒について思い出すことがあっ…

ことばか環境かー発達障害の可能性を有する外国にルーツを持つ子ども

先日、とある講演会で神奈川県大和市の教育長である柿本隆夫さんとご一緒させていただきました。柿本さんは、長年中学校の国語の先生を勤められ学校で出会った外国にルーツを持つ子どもたちをきっかけに、支援団体の設立にも携わったことのある方です。 昨年…

日本人の2倍!?外国にルーツを持つ子ども貧困率

<日本人の2倍!?外国にルーツを持つ子ども貧困率> 日本の子どもの6人に1人が貧困という事実は、今や多くの人々が知るところとなりました。「日本人の子どもが貧困に苦しんでいるときに、なぜ外国人を支援するのか。日本人の子どもの支援を優先すべきだろ…