NPO法人青少年自立援助センター/YSCグローバル・スクール/田中宝紀 (IKI TANAKA)

NPO法人青少年自立援助センター定住外国人子弟支援事業部統括コーディネーター/ 東京都福生市にて外国にルーツを持つ子どもと若者のための教育・自立就労支援事業運営を担当。Yahoo!ニュース個人オーサー。2児の母。

海外からでも使える!自宅学習に最適な子どもの日本語・継承語教育オススメ無料教材

海外に暮らす日本にルーツを持つ子ども達

海外に暮らす、日本人の子どもたちは外務省による「海外子女統計」によると、長期滞在の義務教育年齢の子どもだけで79,000人以上。10年前と比べ、2万人以上増加しています。

日本国籍を持たない、日本にルーツを持つ子ども達(両親のいずれかが日本人、日系人など)の存在なども合わせると、かなりの数に上るのではないかと見られます。

 

海外での生活が一時的であれば、いずれ帰国した際のことを念頭に、日本語の力を年齢相応に維持したり、学校の勉強についていけるように日本語で算数や国語、社会などの教科を学ぶ練習をするために、日本人学校や補習校に通わせたり、自宅で通信教材などを使って学習させることも多いのではないでしょうか。

 

また、原則として生活基盤が海外にある場合でも、一時帰国の際に祖父母などとのコミュニケーションが取れたり、将来の事を考えて、日本語を少しでも身につけて欲しいと考えている親御さんも少なくないのではないでしょうか。

 

一方で、帰国するつもりが当初はなく、積極的な日本語学習はさせてこなかったものの、離婚や日本の家族の病気など、様々な事情により日本での生活をすることになったケースや、これまで意識してこなかったけれど、子ども達の成長に伴って「やはり日本語を話せるようになって欲しい」と思い直すようなケースも。

 

自宅だけで日本語を教えるのは大変!

私たちのスクールでも、海外からの「一時帰国」の際に少しでも日本語をという親御さんの希望があり、短期間限定で、日本にルーツを持つ子ども達を受け入れることがあります。

 

こうした海外で生活をしている日本人の親御さんからよくうかがうのは・・・「自分で教えるのが難しい(時間もノウハウもない)」ということと「子ども自身が日本語学習へのモチベーションを持てない」というお悩みです。

 

確かに家庭の外は全て外国語、という海外の生活の中で、親御さんの努力だけで(モチベーションの持ちづらい)子どもの日本語の力を高めていく(あるいは維持していく)のは大変なことだと、その逆の生活を送っている、日本国内の海外にルーツを持つ子ども達の支援をしていて実感します。

 

そんな時に、インターネット上の無料教材の活用などをオススメしています。

 

「ひらがなプリント」と「学校で使う教科書」の狭間にある
子ども達が使いやすいオススメ教材3点

ひらがなのプリントや、低学年向けの簡単な学習教材などは検索するとたくさんヒットするのですが、この記事では・・・

 

1)年齢が高く「幼稚」に見える教材を使うことに抵抗がある

2)「難しい漢字や日本語の文章はわからないけれど、耳で聞けばなんとなく理解できる程度の日本語の力がある」ため、日本語を母語としない子どものための文法教材などはちょっと使いづらい

3)「日本への帰国などを念頭に、日本での教科の勉強をしたい/させたい」

 

場合などに適した無料教材をご紹介します。

 

<JYL Project 子どもの日本語ライブラリ>

www.kodomo-kotoba.info

こちらは外国にルーツを持つ子ども向けとなっていますが、小学生低学年向け/中学年向け/高学年向け/中学生向けと対象年齢ごとに、日本語や数学、理科など各教科に関する無料教材などが検索できる他、動画で専門的な指導方法を確認することができ、自宅で自らお子さんの学習をサポートするご家庭にとって、役に立つ内容がぎっしり詰まっています。

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(JYL Projectサイトでは、教材を使ってどのように支援したら良いのか、具体的なノウハウが動画で学べます)

 

NHK for School>

www.nhk.or.jp

 

自分が子どもの頃、NHK教育テレビの番組を学校で観たことがある方も多いかと思います。このサイトは、教育テレビで放送されている学校放送番組の動画を無料で視聴できるだけでなく、関連コンテンツ(クイズやオンラインで自習可能なワークなど)も豊富。

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(特に動画に関連した教材はビジュアルを中心にまとめられているので、難しい日本語がわからない場合も、理解しやすい作りになっています。)

 

特別支援教育のための教材>

特別支援教育のための教材というと、「ちょっと違うんじゃない?」と思われる方もおられるかもしれませんが、こちらのサイトでは、文字の理解が難しい子どものために、漢字のオリジナルプリント教材を作成できるデジタルコンテンツや、生活シュミレーションから数に関する力を育てるコンテンツなど・・・

 

集中力が続きづらかったり、言葉の理解に困難を抱える子ども達を対象に、ビジュアルをふんだんに使って作られている点が、日本語・継承語を学ぶ子ども達にもフィットしています。

とにかく「わかりやすく」「個別ニーズのかゆいところに手が届く」大量の教材がすべて無料で利用できる点で、活用しない手は無い!と言うくらいオススメのサイトです。

http://www.e-kokoro.ne.jp/ss/1/index.php

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海外にルーツを持つ子ども達にも、日本にルーツを持つ子ども達にも、楽しい学びを

日本に暮らす海外にルーツを持つ子ども達も、海外に暮らす日本にルーツを持つ子ども達にも、「学びたい」気持ちを育むこと。その気持ちを支えることができる教材や支援にアクセスできることが大切だなと感じています。

 

インターネット上には無料の使える教材やリソースがたくさん公開されています。使えるものはどんどん使って、子ども達の学びをサポートできるといいですね!

 

今、私たちのスクールでは、ITを活用して専門家による日本語教育を、ライブ配信する新しいプロジェクトに取り組んでいます。身近に日本語を教えてくれる人がいない日本に暮らす海外ルーツの子ども達だけでなく、海外に暮らしていて日本語・継承語学習を必要としている子ども達にも活用してもらえるのでは、と期待しています。

NICO|にほんご×子どもプロジェクト 詳細はこちらのリンクからどうぞ。