【よくある質問:その1】外国にルーツを持つ子どもとは、外国人の子どものことですか?
(Q)最近よく耳にするようになった「外国にルーツを持つ子ども」とは、外国人の子どものことですか?
(来日したばかりの子ども・若者が学ぶ日本語初級クラスの様子)
(A)いいえ、外国人(籍)の子どもだけとは限りません。日本国籍の子どもの中にも外国にルーツを持つ子どもがいます。
「外国にルーツを持つ子ども」とは、
『国籍に関わらず、両親または親のどちらか一方が外国出身者である子ども』 のことです。厳密に統一された定義はありませんが、外国籍の子ども(=外国人の子ども)はもちろんのこと、日本国籍の子どもであっても、「ハーフ」や「ダブル」など国際結婚カップルの子どもは外国にルーツを持っています。
この他、難民2世や様々な理由から届出をだしていない無国籍状態の子どもの中にも、外国にルーツを持つ子どもは含まれています。
さらに、いわゆる「帰国子女」と呼ばれる子ども達を、この範囲に含めて捉えることもあります。
統一された呼び方ではありません
同じように、日本語を母語としなかったり、親が外国出身者であったり、複数の文化やルーツを持つ子どもたちのことを支援する大人の間でも、公的にも、統一された呼び方はありません。
「外国にルーツを持つ子ども」のほかにも、外国につながる子ども、外国につながりを持つ子ども、JSL児童生徒(Japanese as a Second Language=日本語が第1言語でない子ども)、日本語を母語としない子ども、など様々な呼び方があります。
支援をする専門家やボランティアの所属先や、一定の地域でどのように呼ばれているか、に違いがあるようです。
子ども達自身が、誇りに思えるように。
いずれの呼び方によせ、当事者である子ども達自身が「私は、外国にルーツを持つ子どもです」と自己紹介することはほとんどなく、一般にもまだあまり知られていない言葉でもあります。
本来であれば、「移民の子ども」という呼び方が(その存在を表す上では)適切な子ども達ですが、周囲にいる支援者でさえ(空気を読んでか、忖度か)、あまりこのように呼ぶことはありません。そう言う、私自身も含めて。
メディアの方々と話しをしていても、「呼びづらい」「使いづらい」「わかりづらい」と言われるこの言葉。なかなか「これ」と言うものがありません。こうした事態こそが、子ども達の日本社会における存在の不安定さの現われでもあり、私たちが直視できない「移民の子ども」の実態そのものを端的に表しているのではないでしょうか。
個人的には、社会的存在としての子ども達は「移民の子ども」を。子ども達が直面する諸課題(例えば日本語の壁、など)には、「言語難民問題」など、それぞれの課題がぱっとわかる呼び方を考えればよいと思っていますが、どんな呼び方であったとしても、子ども達自身がそのように呼ばれ誇らしい、そのように名乗ることがうれしい、と思えるようなものであることが最善です。
「呼び方」の問題を考えるとき、その言葉で呼ばれる子ども達自身を取り巻く環境を変えて行く事、その言葉を使って子ども達を呼ぶ周囲の人々の意識が変わること、も合わせて考えて行きたいですね。
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