NPO法人青少年自立援助センター/YSCグローバル・スクール/田中宝紀 (IKI TANAKA)

NPO法人青少年自立援助センター定住外国人子弟支援事業部統括コーディネーター/ 東京都福生市にて外国にルーツを持つ子どもと若者のための教育・自立就労支援事業運営を担当。Yahoo!ニュース個人オーサー。2児の母。

外国にルーツを持つ子ども・若者

オランダに移住なさったご家族のブログを拝読して―日本語を母語としない子どもの支援者より、「子どもは小さいうちから海外に出るのはちょっと考えたほうがいい理由」

オランダ移住は単純にうらやましいです 広告代理店をおやめになり、オランダへ移住なさった吉田和充さんという方のブログを、転載先のライフハッカー経由で拝読しました。 タイトルは『オランダ移住から2カ月。我が子の順応性を見て気づいた「子どもは小さい…

【2016年度求人】外国にルーツを持つ子ども・若者支援者(日本語教師/学習支援/コーディネーター)募集!at 東京都福生市

支援現場スタッフは本当にすごいなーと素直に思う。 私たちの運営するYSCグローバル・スクール(東京都福生市 http://kodomo-nihongo.com )に携わる大人は、それぞれの専門性で役割を分担し、外国にルーツを持つ子ども・若者の支援をしています。 ●多文…

「外国にルーツを持つ子ども」って呼び方、何とかならないですかね。

この呼び方で広めちゃっていいのか、といつもやや不安に思う 今月のはじめ、都立高校出願の件についてつぶやいたツイートとブログをたくさんの方に拡散していただきました(ツイートインプレッションは30万超、ブログは約2万以上のpvでした)。 これだけ多く…

都立高校定時制出願当日に、外国にルーツを持つ若者が小学校卒業証明の提出を突然求められた件の一部始終と、東京都教育委員会の方への心からのお願い

2月4日、スタッフからの連絡にわが目を疑う 外国にルーツを持つ若者の高校進学をサポートし続けて6年。 日本語を母語としない子ども・若者の都立高校進学が狭き門であること、このブログでもお伝えしてきましたが、当スクールにやってくる生徒の多くは、他に…

日本語がわからない子ども、「この学校に1人だけ」43%-外国人散在地域の子どもの日本語教育をどうすべきか考えた

日本語がわからず「お客さん状態」は子どもにも先生にもつらい 外国人散在地域、という言葉を聞いたことがあるでしょうか。 「がいこくじんさんざいちいき」と読み、外国人が多く集まっている外国人集住(しゅうじゅう)地域と対を成す言葉です。(詳しくは…

外国籍受験生に関わる2016年都立高校入試の変更点3つ

遅ればせながら、新年あけましておめでとうございます。 外国にルーツを持つ子ども・若者支援の現場では、毎年1月、2月は都立高校受験を控える受験生たちの追い込みに追われます。特に15歳以上で来日し、日本の中学校に在籍していない受験生たちにとって…

2015年もっとも印象に残った外国にルーツを持つ子ども・若者関連ニュース

2015年も残すところあとわずか。 今年2015年、仕事収めの今日(12月28日)、あらためて外国にルーツを持つ子どもたちや若者に関するニュースのうち、印象に残っているものをご紹介して、終わりたいと思います。 <1.教育関係のできごと> ●「虹が消える・…

日本語が話せない児童生徒が増加。国が対策へ

国が対策に乗り出した!? www.fnn-news.com 一昨日のFNN-NEWSの動画が流れてきました。ニュースの切り口やいくつかの点に若干の疑問は残るものの、最近、こうした外国にルーツを持つ子ども関連のニュースを目にすることが増えたなと思います。時期的なもの…

これだけは知ってほしい-海外にルーツをもつ子ども支援の基本の基(き)

以前、NHKで放送されている「おはよう日本」というニュース番組にて、今年の2月まで実施していた文部科学省「定住外国人の子どもの就学支援事業」(通称:虹の架け橋教室)の終了に関連して、私の現場で学んでいたネパール人の女の子の様子が放送されました…

日本には外国籍の親と同居する子どもが183万人暮らしている、という事実。

今朝、FMラジオ局J-WAVE81.3にて、俳優の別所哲也さんがナビゲートする「TOKYO MORNING RADIO」のコーナー、THINKING NEW STANDARDに電話出演させていただきました。 10月22日(木)朝、FMラジオ局J-WAVEのTOKYO MORNING RADIOにて海外にルーツを持つ子ども…

「全日制に行けるなんてすごい!」の現実-日本語を母語としない子どもの高校進学

今朝、ツイッターのタイムラインで流れてきた2015年9月22日、毎朝新聞の神奈川版の記事リンクにこんな見出しが・・・ 高校進学:14年度公立中「国際教室」卒業、外国人の全日制進学率47% 「在県枠」条件厳しく 近くの定時制を受験 /神奈川 http://main…

日本語を母語としない子どもを「言語難民」にする、大きな誤解。

先日のエントリー、 ikitanaka.hatenablog.com のタイトルにつけた「言語難民」という言葉。 J-WAVEの放送作家で、劇団東京フェスティバルを主宰されている、きたむらけんじさん(@tokyofestival )が、日本語を母語としない子どもや、海外にルーツを持つ方々…

「言語難民」!?-外国にルーツを持つ子どもの日本語教育、その責任は?

10月6日の夜、FMラジオ局 J-WAVE81.3、JAM THE WORLDという番組に出演させていただきました。パーソナリティは元NHKアナウンサーで、NPO法人8bitnews主宰、ジャーナリストの堀潤さん。「外国にルーツを持つ子どもたちに対する日本語教育は誰が担うべきなのか…

日本社会に不可欠な力を、大切に育てよう

【外国にルーツを持つ子どもが、専門家による日本語教育を受けられると・・・】 →地震や先日の鬼怒川の決壊による水害など、有事の際に日本語のわからない外国人の方々を助けることのできる「当事者リーダー、サポーター」としての活躍が期待できます。 被災…

私たちが「専門的支援環境」にこだわる2つの理由

(毎週1回、土曜日に開かれるボランティアベースのクラス。ボランティアパワーに助けられ、毎回とてもにぎやかです) <サポート機会の拡充は「居場所」の創出に> 現在、外国にルーツを持つ子どもの日本語教育や学習支援は、私たちのようなNPOが専門的に関わ…

「本との出会い」が外国にルーツを持つ子どもたちの人生を守る!?

<読み書きのできない大人が世界に約8万人> さて、前回のエントリー ikitanaka.hatenablog.com では、国際識字デーについて取り上げました。文字を読んだり、書いたりできること。そこに書かれた情報を理解し、判断し、適切に行動すること。 私を含め、この…

「機能的非識字」による経済・社会的損失が、日本は約1兆円!?

毎年、9月8日は『国際識字(しきじ)デー』であることをご存知でしょうか? 1965年にUNESCOが宣言して以来、識字の重要性や取り組みについて再認識するためのイベントが世界各地で開かれています。 「識字」というと、開発途上国の女性や子どもたちの姿が浮…

家庭内公用語は日本語-外国にルーツを持つ“あたらしい”家族

<現場での”トレンド”に変化が> これまでにつらつらと外国にルーツを持つ子どもたちのことを書いてきましたが、おおむねその前提となっていたのは「両親とも同国出身外国人の子ども」または「外国人と日本人の両親を持つ(いわゆるハーフの)子ども」のいず…

「外国人保護者は教育に無関心」のウソ

現場で400名を超える外国にルーツを持つ子ども達をサポートしてきて感じるのは、その保護者の方々への支援の必要性と重要性です。 子どもが健やかに日常や学校での生活を送るために、その保護者の方々が自信を持って子育てができる環境の重要性は、日本人の…

外国人散在地域に暮らす外国にルーツを持つ子どもの孤独

(写真:昨年度の卒業制作作成の様子。遠くは県外から子どもが通い、同じ境遇にある子ども達同士の仲間作りの場となっています) <集住(しゅうじゅう)と散在(さんざい)> 日本に暮らす外国人の方々について語る時、それが集住地域であるのか、散在地域…

外国にルーツを持つ”呼び寄せ”の子どもと家族再統合

<現場で出会う子どもの半数以上が「呼び寄せ」の子どもたち> 「呼び寄せ」とは、外国人の親御さんがわが子を親戚などに預けて来日し、その後日本での生活基盤ができたり、子どもの教育的な節目(小学校修了、中学校修了時など)で、日本で共に暮らすために…

外国にルーツを持つ”シングルリミテッド”の子どもと特別支援

前回のエントリー ikitanaka.hatenablog.com で、”発達障害”を持つ可能性のある外国にルーツを持つ子どもについて、その「発見」自体が困難であることをお伝えしました。 そのエントリーを書いているうちに、以前支援したある生徒について思い出すことがあっ…

ことばか環境かー発達障害の可能性を有する外国にルーツを持つ子ども

先日、とある講演会で神奈川県大和市の教育長である柿本隆夫さんとご一緒させていただきました。柿本さんは、長年中学校の国語の先生を勤められ学校で出会った外国にルーツを持つ子どもたちをきっかけに、支援団体の設立にも携わったことのある方です。 昨年…

外国にルーツを持つ子どもの高校進学率50%ー『不足』はどこに?

私の所属する NPO法人青少年自立援助センター はもともと、ひきこもりの若者やニート状態にある若年無業者の方々の支援を専門としており、私が統括する定住外国人子弟支援事業部でも2013年度より、外国にルーツを持つ若者の自立・就労支援に取り組んでいます…

日本語ができないとどうなる?(3)-日本で生まれ育った子ども

2015年08月05日 前回、前々回とそれぞれ幼少期に来日した子どものケース、10代で来日した子どものケースを見てきました。 ikitanaka.hatenablog.com ikitanaka.hatenablog.com 今回は、最近特に増えていると感じている日本で生まれ育った子どもについてお…

日本語ができないとどうなる?(2)-10代で来日した子ども

前々回のエントリー ikitanaka.hatenablog.com では、9才ごろまでに来日した子どもの様子をお伝えしました。 今回は、10代に入ってから・・・特に現場で出会うことが多い14才ごろに来日した子どもたちのストーリーを、いくつかの事例をもとに再構成してお送…

日本語ができないとどうなる(1)? ー幼少期に来日した子ども

ひとくちに「外国にルーツを持つ子ども」といっても、彼らのバックグラウンドは実に多様で、国籍や母語、文化や肌の色などの違いだけでなく、来日年齢や家庭環境、居住地域(外国人が多い地域なのか、ほとんどいない地域なのか、など)等によってニーズや抱…

「外国にルーツを持つ子ども」ってどんな子ども?

<図:外国にルーツを持つ子どもたちの多様なバックグラウンド> 「外国にルーツを持つ子ども」とは、両親またはそのどちらか一方が、外国出身者である子どものことをあらわしています。親御さんとの血のつながりは特に関係ありません。実親であっても、義親…

私が外国にルーツを持つ子どもを支えるようになったワケ

<いじめから逃れるようにフィリピンへ・・・> いくつか分岐点があるのですが、そもそもの始まりは16歳の時にフィリピンのハイスクールへ留学したことでした。小学生のころから、学校や習い事の教室でいじめを受けるようになり(無視レベルから靴の中にマヨ…

日本語ができない子どもたちの高校進学-都立高校は相変わらずの狭き・小さき門。

子ども日本語教室は今日で2学期の通常授業が終了です。22日からは高校受験生冬期講習を実施。今年度は当教室から22名が東京都立・埼玉県立高校の受験に臨みます。今年は日本語がまったくできない新規来日の、15歳以上の若者が多く入所しました。毎日毎日この…