外国籍受験生に関わる2016年都立高校入試の変更点3つ
遅ればせながら、新年あけましておめでとうございます。
外国にルーツを持つ子ども・若者支援の現場では、毎年1月、2月は都立高校受験を控える受験生たちの追い込みに追われます。特に15歳以上で来日し、日本の中学校に在籍していない受験生たちにとっては、この一年間、日本語をゼロから学んだ後、日本語で数学や英語の入試問題を解くためのトレーニングを繰り返してきました。
(スクールの受験生の様子。徐々にぴりっとした雰囲気に)
日本語を母語としない子どもたちの都立高校進学が制度的に厳しい現状は過去記事にも書いてきましたが、今年度の入試(2016年4月入学)より、いくつかの制度変更があり、特定の要件を満たす生徒にとっては、少しハードルが下がっています。
この記事では主に「外国籍」で、「日本に入国して3年以内」の、都立高校進学を目指す外国にルーツを持つ受験生(”在京外国人生徒”)にとって、関わりのある特別な措置についてまとめます。
4月から都立高校入学を目指している外国にルーツを持つ生徒さん(特に海外で9年以上の教育課程を修了して受験する15才以上の若者)や、支援者の方々は出願まで2週間となった学校もありますので、要チェックです。
変更点1:在京外国人枠のある高校が増えました
在京外国人生徒(外国籍、来日3年以内)のための特別入試を行っている都立高校は、昨年度まで3校のみでしたが、今年度の入試から2校増え、以下の計5校になっています。
<表:在京外国人生徒対象入試を実施する都立高校>
いずれも、東京の23区にあり、多摩地域に暮らす外国にルーツを持つ生徒にとっては通学時間と交通費の負担が可能かどうかということが大きなポイントです。
(現場のある東京都福生市からは、もっとも近い高校でも1時間30分程度かかり、遠いから、と諦めてしまう外国にルーツを持つ生徒も少なくありません・・・)
変更点2:辞書の持ち込みと試験時間の延長が可能に
これも「外国籍」で「来日3年以内」の制約付きですが、これまで試験問題へのルビ振りのみだった特別措置が、緩和されました。これは生徒によっては大きな配慮となります。
<図:都立高校入試Q&A(http://www.kyoiku.metro.tokyo.jp/pickup/p_gakko/28boshu/12.pdf )
より抜粋>
ちなみに、持ち込む予定の辞書は書き込みの有無等のチェックのため、事前に受験する高校の出願時に提出しておく必要があります。また、試験時間の延長は10分間となりますので、いずれにせよ事前に模試などで対策をしておきましょう。
*この特別措置は、来日3年以内の外国籍の方であれば、どの都立高校を受験する際にも申請が可能です。
変更点3:特別措置申請者以外は解答用紙がマークシート方式に
今年度の都立高校入試から、一部を除いて、解答用紙が原則としてマークシート方式になりました。(数学の証明問題、英作文などはこれまで通り記入します)
ただ、変更点2で挙げた、外国籍・入国3年以内の受験生が『ルビ振り、辞書持込み、試験時間延長』の特別措置を申請した場合は、解答用紙はマークシートにはなりません。
<図:東京都教育委員会 「『サンプル解答用紙』を使って都立高校入試に向けた準備をしましょう!」 より抜粋>
自分がマークシート方式になるのか、そうでないのかを確認し、いずれにしても何度か解答用紙を使って練習をしておきましょう。
マークシート方式の解答用紙を使用する方は、東京都教育委員会のホームページ内ににサンプルが掲載されていて、ダウンロードして練習することができます。
ちなみに、昨年度の過去問にもマークシート方式のサンプル解答用紙がつけられていますので、こちらも活用してください。
おわりに:わからないこと、あいまいなことは直接確認!
これまでに106名の外国にルーツを持つ生徒の高校入試をサポートしてきました。出会った生徒の中には、高校入試について、同郷出身者から聞いたあいまいな、誤った情報(外国人は受験できない、など)で立ち止まってしまっているケースもありました。
あるいは、本当に残念なことですが、日本人支援者(または中学校の先生)による不正確な情報や進路支援に振り回され、親子で疲弊しているケースもありました。
現在、東京都では英語版、中国語版、韓国語版の受験案内も作成しホームページ上で公開していますし、外国にルーツを持つ親子のための進学ガイダンスを主催している各団体でも正確で必要な情報を得ることができますので、ぜひアクセスを。
(もちろん、当スクールもご相談を受け付けていますので、ぜひ)
入試まであとわずかとなりました。
全国に暮らしている外国にルーツを持つ受験生全員が、希望にあふれた春を迎えることができますように!