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NPO法人青少年自立援助センター/YSCグローバル・スクール/田中宝紀 (IKI TANAKA)

NPO法人青少年自立援助センター定住外国人子弟支援事業部統括コーディネーター/NPO法人多文化共生子ども・若者プラットフォーム理事長。 東京都福生市にて外国にルーツを持つ子どもと若者のための教育・自立就労支援を担当。7歳と3歳の2児を育てるフルタイムワーキングマザー。

「外国人保護者は教育に無関心」のウソ

外国にルーツを持つ子ども・若者

現場で400名を超える外国にルーツを持つ子ども達をサポートしてきて感じるのは、その保護者の方々への支援の必要性と重要性です。

 

子どもが健やかに日常や学校での生活を送るために、その保護者の方々が自信を持って子育てができる環境の重要性は、日本人の親御さんにとっても同じですね。

 

私自身も、3才と6才の子ども2人を育てていますが、保育園や小学校で子どもがのびのびと時間を過ごすために、毎日の準備や健康管理、保育士さんや学校の担任の先生とのコミュニケーションなど・・・これほど多くのことをする必要があるのか、と改めてその大変さと自分の親の偉大さを思い知る毎日です。

 

外国人保護者の方々にとっては、「日本語」という壁がここに加わるのですから、それはもう、本当に大変な日々なのだろうな、と思います。

 

一方で、時折学校の先生や外国にルーツを持つ子どもに関わった方々からは、「外国人保護者は教育に無関心である」という発言が聞かれます。

 

 

本当に「無関心」なの?

 

答えは、Noです。そういう人もいると思いますが、日本人の保護者にも当然、そういう親御さんはいますし、外国人保護者”が”無関心である、とは言いきれません。

 

現場では、子どもの日本語が日本人より劣っているのではないか、と不安に駆られて5才の子どもを小学生向けのプログラムになんとか入れてほしい、と頼みこまれること(“特例”で受け入れてます)や、「1日でも多く勉強させたい」と、工場の非正規雇用でゆとりのない経済状況ながら子どもの月謝をねん出しようとされる外国人ひとり親の方と出会う事があります。

 

このように、子どもの成長や教育について、心から案じていて、出来る限りのことをしたいと思っている外国人保護者の方々との出会いの方が多くあります。

 

(写真:土曜日のボランティアクラス。手前では保護者が。奥ではその子どもたちが同じ時間帯に学んでいます)

 

 

「無関心」ではなく「わからない」「知らない」場合が多い

 

ただ、学校から出されるお便りをはじめとし、子どもの育成や教育に関わる情報の多くが「日本語のみ」で渡されていて、日本語のできない外国人保護者の方にとっては、不本意ながら

 

おたよりが読めない

子どもに必要なもの/様子/保護者会の日程等がわからない

「あの家の子どもは親が無関心だから忘れ物が多い」

「親がほとんど学校に来なくて無関心だ」と言った誤ったイメージが定着する

 

という状況です。

 

あるいは翻訳支援がある学校さんでも、日本語のお便りが子ども達に配布された後に翻訳にかかることがあり、「○日までに××を持ってきて」、という期限が過ぎてから翻訳文書が手渡されることもあるとか。

 

・・・こうなると、『「忘れ物」の多い子ども』自体も苦しい思いをします。

 

学校の先生方や外国にルーツを持つ子どもたちに関わりのある方々にはぜひ、

 

☆情報を外国人保護者が理解可能な状態で発信する☆

 

という点を無料ツールなど(文科省の「かすたねっと」や自動でルビをふる「Addruby」など)を駆使してなんとかクリアし、外国人保護者の「子どもの教育について理解したい、関与したい」という親としての願いを実現していただきたいところです。

 

 

3つのプログラムで外国人保護者をサポートしています

 

私達のスクールでは、外国人保護者の方々に対して

1)個別相談

2)ペアレントスクール

3)支援者育成

の3つのプログラムを提供し、日本での子育てをサポートしています。

 

 

1)の個別相談では、多文化コーディネーターがお子さんの日本語や学習の状況や学校での様子、進路の相談や必要書類の記入など、教育に関わることについて広くメール、対面、電話などでサポートしてます。

 

新年度の始まる4月には、学校から配られた入学のしおりを手に、学用品の準備や手続きの相談にたくさんの保護者が連日つめかけました。

 

 

2)アレントスクールでは、当スクールにお子さんが在籍している外国人保護者は無料で(そうでない方は1回90分、500円)、ボランティアサポーターが日本語の学習支援を毎週土曜日に行っています。

 

毎週土曜日に行われている子ども向けのサタデースクールと同時に進行しているため、同じ会場の中で親子が別々のクラスで学んでいます。保護者が一生懸命に日本語を学ぶ姿を見て、子ども達も感じるところがあるようです。

 

こちらに通うある保護者の方。20年近く日本に暮らしながら、夫婦ともに、日本語を学ぶ機会もがなかったと、日本語ができません。彼らの子どもたちはほとんど母語を喪失しているため、家庭内で親子が充分に会話できる言葉がない状況でした。

 

アレントスクールに通う事で、はじめてひらがなを書くことができるようになり、少し日本語の会話ができるようになり、「自分の子ども達が、こんなに大変な思いをして日本語を勉強しているということを初めて理解した」とおっしゃっていました。

 

昼夜問わず働きづめの保護者の方も多く、外国人保護者を支える側もニーズの把握や時間帯の設定などには苦労しますが、「子育てに主体的に関わることができる」「子どもの教育について理解できている」部分を増やすこと。そのための支援から少しずつでも行っていくことで、親御さんの子育てに関する自信を育むことができるのではないかと感じています。

 

 

3)支援者育成では、特に近隣の学校関係者の方向けに外国にルーツを持つ子どもの具体的な支援方法や、進路指導に関する情報などをお伝えしています。また、ボランティアサポートを希望される方向けの養成講座を開催することもあり、毎回遠方からも参加者があります。

 

(写真:多文化コーディネーターによる、学校の先生向け進路指導講座)

 

特に受け持ちのクラスに外国にルーツを持つ子どもがいる学校の先生からは、なんとかしてあげたいが、どうしたらよいのかわからないと言った相談も多く寄せられ、教材の紹介や支援方法のアドバイスなど、「外国にルーツを持つ子ども支援のプラットフォーム」として、地域へノウハウを還元しています。