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NPO法人青少年自立援助センター/YSCグローバル・スクール/田中宝紀 (IKI TANAKA)

NPO法人青少年自立援助センター定住外国人子弟支援事業部統括コーディネーター/NPO法人多文化共生子ども・若者プラットフォーム理事長。 東京都福生市にて外国にルーツを持つ子どもと若者のための教育・自立就労支援を担当。7歳と3歳の2児を育てるフルタイムワーキングマザー。

日本社会に不可欠な力を、大切に育てよう

【外国にルーツを持つ子どもが、専門家による日本語教育を受けられると・・・】

 

地震や先日の鬼怒川の決壊による水害など、有事の際に日本語のわからない外国人の方々を助けることのできる「当事者リーダー、サポーター」としての活躍が期待できます。

 

被災地では外国人の方々が避難所で言葉がわからずに困ったり、疲弊しているというニュースが流れています。また、避難指示放送が日本語のみであったために、逃げ遅れたという外国人の方のお話しもありました。

 

(・・・報道では市の担当者も「そこまで手が回らない」とおっしゃっていたとのことでしたが、そもそも避難指示くらいなら外国語で録音しておいたものを流す、とうこともできそうです)

 

公的機関を含めた地域で外国にルーツを持つ方々が活躍できれば、こうした事態や日常的な「言葉の壁」を低くすることができますよね。そうすると、外国人の方自身だけでなく、対応に追われる日本人の方にとっても、負担軽減につながります。

 

 

<「災害」を含め、あらゆる生活の場面で>

 

今、シリア等からの難民の方々を取り巻く状況が切迫しています。

難民の申請から認定までに長い時間がかかり当事者の方々も、受け入れ側も疲弊している地域もあるそうです。難民の方々の絶対数が多い、ということのほかに、通訳が圧倒的に足りない状況が認定作業を遅らせている一因とのことでした。

 

たとえば今後、シリア難民の方の受け入れを進める時、アラビア語ー日本語のバイリンガルが少なくない人数、必要となります。

 

また、難民に限らず、移住希望者、就労希望者など多くの外国人の方々に門戸を開いていくのだとしたら、彼らの日本での生活を支える多言語人材を欠かすことはできません。

 

 

<「グローバル化」の潮を泳ぐために>

 

・・・20代前後で来日した留学生等とは異なり、子どもの頃から一定以上の期間を日本で過ごした外国にルーツを持つ子どもや若者は、日本の状況や”日本的感覚”をよく理解した上で、通訳やサポート、主体的な活動ができるというポテンシャルを持っています。

 

企業活動においても、海外との取引きや情報発信などの場面で「身内」にバイリンガル人材を抱えておくことのメリットは大きいでしょう。サービス業の顧客自身も多言語化してきていますから、ホテルやファーストフード、レストランなどで多言語対応ができれば新たな顧客層の開拓につながります。

 

今現在も、そして今後もグローバル化の潮流から逃れることができないのだとしたら、その流れの中で力強く泳ぐことのできる人材の育成は必要不可欠です。

 

ただ、それを実現するためには少なくとも日本語教育」と「母語教育」(継承語教育を含む)の両輪を持ってバイリンガルを育てていこうとする積極的な関与がなくてはなりません。

 

日本の子どもたちや若者の海外経験や語学力を高めることも一つの手ですが、国内に居住する外国にルーツを持つ子どもたちの力を高めてゆくこともまた、一つの有効な手段であると考えています。

 

 

<「勝手なこと」ではあるけれど>

 

・・・こうした発言は、当事者の外国にルーツを持つ方々にとっては「勝手なことを言わないで」と言われそうですね。私も「女性活用」といわれると、勝手なこと言うな!と思います(苦笑)。

 

けれども、そういう方向性が国や都道府県レベルで打ち出されていくことで、外国にルーツを持つ子どもたちを取り巻く環境は整備され、改善していく可能性が高まります。

 

みなさんと、多様性を力に変えていけるような、豊かで新しい日本の社会を作っていけるように、私自身は小さいながらもできる限りの努力をしたいと思っています。