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NPO法人青少年自立援助センター/YSCグローバル・スクール/田中宝紀 (IKI TANAKA)

NPO法人青少年自立援助センター定住外国人子弟支援事業部統括コーディネーター/NPO法人多文化共生子ども・若者プラットフォーム理事長。 東京都福生市にて外国にルーツを持つ子どもと若者のための教育・自立就労支援を担当。7歳と3歳の2児を育てるフルタイムワーキングマザー。

日本には外国籍の親と同居する子どもが183万人暮らしている、という事実。

今朝、FMラジオ局J-WAVE81.3にて、俳優の別所哲也さんがナビゲートする「TOKYO MORNING RADIO」のコーナー、THINKING NEW STANDARDに電話出演させていただきました。

 

 

5分間と言う短い時間でしたが、海外にルーツを持つ子どもたちの現状をお話させていただいたところ、別所さんが、こうした子どもたちや外国籍の方々と「一緒にどう地域を育んでいくのか」が大切だと言う視点を提示してくださり、まさにそのとおりだな、と思いました。

 

番組の中で、東京の人口が1,300万人でそのうちの40万人、32人に1人が外国人の方であることが紹介されていました。別所さんが最後、「あなたの隣にも」とおっしゃっていましたが、まさに私たちの「隣人」として、外国人の方々の存在は珍しくなくなってきたことを、私自身も生活の中で実感します。

 

<時代は変化している>

さて、32人に1人、という数字が出たところで、「海外(外国)にルーツを持つ子ども」はどのくらいいるのか、を改めて、入手可能な限り最新のデータで計算してみたのでご紹介します。

「海外にルーツを持つ子ども」は、外国籍の子どもだけでなく、保護者のどちらか(または両方)が外国出身者である日本国籍を持つ子どもも含まれるため、その正確な数を把握することが長年の課題でしたが、国勢調査のオーダーメード集計が可能となって以降、以前より実態に近い数が把握しやすくなってきました。

 

ちなみに、ご紹介するデータの元となったのは、過去記事でもたびたびご紹介している岡山大学大学院の高谷先生らがまとめて下さった『2010年国勢調査にみる外国人の教育 ――外国人青少年の家庭背景・進学・結婚――』岡山大学大学院社会文化科学研究科紀要第39号 (2015.3)です。

 

この論文の中に掲載されている以下の表(p41)に掲載されているのは「親の国籍別、55歳未満の父/母と同居する子どもの数」です。

 

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ここに掲載されている55歳未満の父/母と同居する子どもの数をすべて足し算すると、その数は23,594,347人で、このうち【同居する両親が日本人の子】は、21,767,274人です。

全体から日本人の両親と同居している子どもの数を単純に引き算すると、2010年現在で、1,827,073人【同居する親の両方またはどちらか一方が外国人である、海外にルーツを持つ子ども】であると言えます。

これは全体の2.2%にあたります。

 

どうでしょうか?

 

意外と多いなあ、と思った方が多いのではないかでしょうか。

日本は閉鎖的、日本は単一民族国家、というような発言が今でもSNSを中心に散見されますが、はたして本当にそうなのでしょうか。

時代は確実に、変化を遂げつつあることを、この183万人の子どもたちは示しているのではないでしょうか。

 

<「新しい日本人」>

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話しは少し変わりますが、先日、3歳の娘の七五三の写真を撮影しに、某「不思議の国の写真スタジオ」に行ってきました。きれいな着物を着せてもらい、鏡を見ながらまんざらでもなさそうな娘を眺めながら、「ああ、彼女は”日本人”なのだな」とぼんやりと思いました。

 

(私自身は海外にルーツを持ちながらも、日本国籍を持ち、日本語を第一言語とし、日本人としてのアイデンティティを確立しています。自分の子どもに対しても特に「あなたは日本人だ」とか「海外にルーツが有る」というような価値観を教育することはなく、ごくごく自然に子育てをしていたら、子どもは自然と「日本人」的な方向に育っている、という感じです。)

 

娘が写真を撮影してもらっているスタジオのすぐ隣では、フィリピン人のお母さんと、その娘さんが、同じく七五三の着物を着ておすまし顔で撮影してもらっていました。

 

ネオンカラーの斬新なデザインの着物が、褐色の肌の女の子にとてもよく似合っていました。フィリピン人のお母さんも、娘さんの晴れ姿をうれしそうに見守っていて、その姿がとても自然で印象に残りました。

 

撮影終了後、そのフィリピンにルーツを持つ親子と着替え部屋が同室になったのですが、その娘さんが、私の娘と並び立ち、お互いの顔をみながらちょっと照れつつ、にこにこしている姿を見て、ああ、この子達は2人とも「新しい日本人」なのだな、と感じました。

国籍や肌の色や目の色がどうであれ。

 

以前、過去記事

 

ikitanaka.hatenablog.com

 

でも少しだけお伝えしましたが、台湾では移民の方々のことを「新台湾人」と呼ぶのだそうです。

人に古いも新しいもないのですが、もしこれまでの日本人の方々の特徴が「閉鎖的」であることや「単一民族的マインド」や「島国根性」にあるのだとしたら、海外にルーツを持つ子どもたちや、そうした子らと幼少期から「当たり前」に過ごしている現代の子どもたちは、「新しい日本人」としてのマインドや文化を、伝統的な文化や価値観という土台の上に、おのずと育んでいるのではないかな、と感じています。

 

そのことがもたらす影響(ポジティブにせよ、ネガティブにせよ)を垣間見ることができるのは、十年以上先になるのでしょうが、グローバル化が進み、「国」という枠組みが揺らぎつつある現代で、こうした「新しい日本人」となる子どもたちの存在は、かけがえのないものとなるのではないでしょうか。

 

「血の”純粋”さ」や「国籍」や「見た目」にこだわりすぎると、大切なことを見失い、なくしてゆくのではないか。そんな危機感を持って過ごしています。

 

*追記

以前、外国籍の親と同居する子どもは全体の7.7%、とお伝えしましたが、掲載違いを出典データ執筆者の鍛冶到先生よりご指摘いただき修正しました。

正しくは、1-{(21,767,274+123,600+1,195,732)÷23,594,347}=2.2%

 です。

お詫びして訂正いたします。